順番で言えば、こまちさんなのですが…こまちさんは5の後半だとサブヒロイン状態で長くなりそうなので、先にかれんさんを書こうかと(ひでえw)
★かれんさんの物語
プリキュア5は夢探しの物語であるとは、もう何回も感想で書いたことです。
で、その中で一番特殊な描かれ方をしたと個人的に思うのは、このかれんさん。
彼女の見つけ出した夢は医者になること。その夢が直接的に姿を現すことになったのはミルクが病気になる34話においてです。
登場以前に夢を定めていたうららやこまちさんを除けば、のぞみとりんちゃんは物語以降に夢を定めます。
のぞみはプリキュアを通し、また自分に様々な影響を与えたココから先生と言う夢を。
りんちゃんは前々回の感想のような経緯でアクセサリー作りという夢を見つけます。
ココやプリキュアとの軌跡によって最終的に夢を得るのぞみ。形は違えど、アクセサリーの絡んだエピソードによって夢を得るりん。このあたりは順を追って、しっかりと描写されていると言えるでしょう。
ですが、かれんさんの医者と言う夢は件の34話のみです。他のメンツの流れとは微妙に違います。
では、プリキュア5において、彼女の物語は何を描いていたのか?と振り返ると、なかなかに興味深いものが見えてきます。
★かれんさんの担当回
箇条書きで我らが水無月嬢の担当回を抜いてみますと
・第5話「プリキュアの資格」
・第6話「プリキュア5全員集合!」
・第8話「相性最悪?りんとかれん」
・第14話「悩める生徒会長かれん」
・第18話「突撃!かれんの私生活」
・第34話「ミルクを守れ!白馬の騎士かれん」
こんな感じでしょうか?
変身失敗と初変身、りんちゃんとの相性、生徒会での苦悩、そして顔芸回wで、ミルクを看病し守った34話。
なんか纏まりがない感じですね。プリキュアだメンバーとの確執だ、生徒会だの。うららやこまちさんあたりの担当回と見比べるとバラバラです。りんちゃんのアクセサリーみたいなシンボルも見当たらないですし、のぞみみたいにキーパーソンとなる人物もいません。
では、簡単にその担当回のあらすじを思い出してみましょう。
☆第5話「プリキュアの資格」
かれんさん変身失敗の巻。日頃、何でもやってしまうかれんさん「私がやらないと駄目」と考えてしまっています。そんな中、彼女をプリキュアに誘おうとするのぞみさん。のぞみ一味が水無月家に訪れたとき、ナイトメア襲撃。彼女達のピンチに変身の機会が訪れますが、「私がやらないと駄目」と考えていたために失敗。かれんさんショック。
☆第6話「プリキュア5全員集合!」
失敗でショックのかれんさん。のぞみの勧誘を拒絶し続けますが、何だかんだで彼女達といるのが楽しくなってくる。そんな中、再びナイトメア襲撃。今度は一緒にて楽しかった彼女達を守りたいと叫んで変身成功。晴れて5人揃ってめでたしめでたし。
☆第8話「相性最悪?りんとかれん」
りんちゃんと好みが合わないで色々張り合う回。まあ、ナッツハウスにピンキー回収に学食と意地を張り合う二人の姿が微笑ましいです。一方、そんな中で他の三人がナイトメアに捕縛されますが、かれんさんとりんちゃんは張り合いつつも大奮闘。互いに認め合いましたが、やっぱり好みの違いは大きかったと言うお話w
☆第14話「悩める生徒会長かれん」
部費が足りないと各部から陳情の嵐。一応、それを学園理事長側に伝えるが色よい返事がない。かれんさんは制限は決まっていると切ろうとするが、こまちさんが部活側を窘め、一方でのぞみ発言が元になり、陳情の中で各部が協力できる点を探していく流れになる。かれんさんはその中で知恵や力を合わせることに気づく感じ。
☆第18話「突撃!かれんの私生活」
学園の高嶺の花のかれんさんを詳しく知りたい人が多いらしく、増子さんがかれんさんに取材を申し込む。かれんさん宅で取材するが、他の仲間が隠れて笑わせに来るwそんな仲間達に対して怒るかれんさんの姿に、増子さんはかれんが普段とは違う表情をすることに気づきます。
☆第34話「ミルクを守れ!白馬の騎士かれん」
かれんさんの牧場に遊びに行った5ファミリーですが、ミルクが病気になる。かれんさんは仲間達が病気を治すピンキーを探す間、ミルクの看病に奮闘するが、そこにナイトメアが襲来。たった一人で戦いを挑み、最終的には一人で撃退するかれんさん。治った後、ミルクは看病と守ってくれたことをかれんに感謝するのだった。
★共通点
こうやって羅列すると直接的に夢に至るお話を描いたのは34話のみですね。ほかはかれんさんの変化を描いた感じでしょうか?でも、それでもなんかバラバラですよね。
5・14話では頼られるかれんさんの様子を、6・8・18話では仲間を得たかれんの様子を描いてますが、やっぱりなんかバラバラです。
まあ、せいぜい一貫してる部分と言えば、仲間の重要性ぐらいでしょうか?
仲間を得る過程、仲間によって変化した様子、仲間の重要性に気づく。こういった感じのお話が大目のような気がします。ただ、それと医者という夢は直接はリンクしません。はてさて、これはどういうことなのか?
★18話のある二つのシーンに注目してみる
ここで一旦、夢の話題からは離れてしまいますが、見直してみると興味深いシーンがあります。
18話、増子さんを案内してる最中のお話です。見事な植物園。その世話をしっかりやってることを増子さんは褒めますが「本当は世話なんて焼きたくない。でも何かしてないと…」とつぶやくシーンがあります。
そして18話でもう一箇所。ナイトメアと戦闘中に人工底なし沼に捕らえられるアクアを残した仲間達。ここでアクアは増子さんを放り投げて逃げ道を指差しつつ、仲間の救援に向かいます。ここからはアクアの大奮闘で仲間救出、ナイトメア撃退となっていきます。
この二つのシーン。
・前者からは色々なことで頑張っているが、一方でそれに煩わしさを感じている。
・後者からはこの時のかれんさんは仲間の存在がとても大きくなっていることを示していると言えるでしょう。良くも悪くも増子さんより仲間達の救援を優先してしまいました。
さて、同じ話のこの二つのシーン。合わせると「現状、彼女にとって仲間はとても大きな存在だが、一方で煩わしさを感じている」と言えるのではないでしょうか?
★振り出しに戻る
上のことを頭においてもう一度、彼女をについて考え直してみると、なかなかに面白い。
3年生で生徒会長、文武両道で出来ないことはほとんどない。そんな完璧に近い彼女。何でもやってしまう為、人から頼りにされる。自分も誰かの世話をしてしまう。そんな彼女の姿を5・14・18話から確認できる。
一方でのぞみ達と出会ってプリキュアとなり、その後、彼女の変化等を描いたのが6・8・18話。
彼女は仲間と出会い、その仲間達が彼女を変えて行く様子が描かれてきてるが、一方で彼女が相変わらず頼りにされたり、世話を苦痛に思う姿も描かれている。
徐々に大きくなっていく仲間の存在。一方で変わらない彼女の性。こう見ると、彼女は仲間を得てプリキュアとなったが、再び、登場時の彼女のような存在に向かっていたのではないか?
彼女は本当にスペック、能力が高い。故に様々な人を助けることができる。学校においてもプリキュアにおいても。
だけど、裏を返せば、「結局、私がやらなきゃ駄目なのね」「私がこの子達の世話をしないと…」
という彼女のある種の優越感へと繋がる。自分が仲間や生徒達よりも上位の存在と心の奥底では考えてしまうようになるのではないか?実際、この点を23話のナイトメアは突いて来た。
スペック・能力が高いことは素晴らしいことです。自分の為だけではない。人の為に何かするためにも重要なものです。生徒会にプリキュアに彼女はその能力を如何なく発揮してきた。
だからこそ、彼女は誰かの世話、自分が引っ張っていると言う感覚に陥りやすいのかもしれない。5話の変身失敗や23話のナイトメア、そして鏡の国ダークアクアなどから、常に他者と比べての彼女の優位性が描かれている。
能力があるから人の為に尽くせる。能力があるから人より優位という感覚に陥る。人のために尽くせる人は、一方で対象者に対して優越感を得やすいものなのだ。
5前半の彼女の物語は、彼女の中で大きくなっていく仲間達の存在と、再び、以前の彼女に戻りつつあった危険な均衡を描いていたのではないでしょうか?
★プリキュア5絶対の法則
23話、優秀だから一人ぼっちと悪夢から宣告を受けるシーン等は、その彼女の優越感に関する問題の極地だっただろう。そして家族と離れ離れから来る孤独感。二つが合わさり、彼女の闇をより深刻なものにしていたのかもしれない。
だが、彼女も他の仲間達と一緒のように、人同士の結びつきからその闇に打ち勝つ。
彼女は仲間達との交流の中で、心の底から彼女達に尊敬の念を抱くようになったからだ。
「あの時ののぞみ、絶対忘れないわ」(25話)
「のぞみに出会ってから、寂しいって言えるようになったの。あの子には人を素直にさせる力があるのね」(30話)
「どんな逆境に立たされても輝きを失わない。何時だって信じることを忘れない子よ」(44話)
「でも、みんなに…のぞみに出会って、私は変わることができた…」(鏡の国)
「なかなかやるわね、りん」(8話)
「りんは本当に花が好きなのね(中略)本当に好きじゃないと、あんな風にできないものよ」(42話)
「それがこまちの優しさよ!私が一番よく分かっているわ!」(24話)
「自分が納得いくまで行動しないと必ず後悔するって、あの時、私にそう言ってくれたのはこまちじゃない!」(28話)
「こまちやうららみたいに、夢を持って一つの事にまっすぐ進んでる人が、とても羨ましい」(42話)
5人の中で一番スペックが高い彼女。だが、彼女は以前からの親友であるこまち、そしてプリキュアを介して得た仲間達に影響を受け、そして彼女達を認めていく。
認められなかったら、言い方は悪いが彼女にとって仲間達はただの庇護の対象でしかない。だが、本心から彼女達を認め、彼女の中で真の仲間へと昇華する。
「あなた、友達はいる?」
「そんな物はいらないわ。あなたを倒すのに、私一人で十分だもの!」
「私はいるわ…一緒に笑ったり、泣いたり、喜んだり悲しんだりできる大切な友達が…一人で十分なわけない、そんなんじゃ成長できないわ!」
(鏡の国)
仲間との真の出会いは彼女にさらなる成長を促す。自分ひとりでいいと思う人間には、これ以上の高みには至れない。ただの停滞である。
夢は違っても隣には自分が認め、それぞれの夢に向かって頑張る仲間達がいる。自分も彼らを理解できるし、自分も理解されている実感を得られる。だからこそ、彼らを励みにして頑張れる。ここは他の仲間とまったく同じ展開である。人同士の結びつきこそが己を成長=心を強くする。いつも通りのプリキュア5の絶対の法則である。
★そして夢へ
そこで34話を振り返る。病気になったミルクを看病し、そしてナイトメアから守りきるかれん。
このシチュエーションは誰かを庇護している感覚に陥りがちなかれんにとっては、再びその感覚に陥る可能性があっただろう。守られるだけの無力な存在のミルクだからなおさらだろう。しかし、この時の彼女にそんな余分な物はない。
ミルクの看病は何でもできた彼女にとってもなかなか大変な事だったし、自分も幼い頃、そうやって爺やさんに看病されたことから、自分もミルクも変わらない存在であることを改めて噛み締めたからだ。
そして仲間を認めていたこの時期の彼女は自己を特別視することはなくなっている。
そんな徐々に成長していた彼女だからこそ、そしてかつての自分と同じ状況の、守る必要があるミルクがいるこの時は彼女の最大の長所が最大限に発揮された。
彼女最大の長所とは人の為に頑張れることである。
「人は自分だけの為に動くわけではないわ」(39話)
上では誰かの為に動くことで優越感を持ってしまいがちなことを書いたが、本来、人のために動けることはこれ以上ない長所だ。
彼女自身は気づいていなかっただろうが、両親に心配をかけない様にいい子でい続けた事も、生徒会長として頑張り続けたことも、そして得た仲間達のためにプリキュアとなり戦い続けていることも、本来はかれんの人の為に動ける長所故の行為なのだ。
時に長所ゆえに派生する感情に流されることはあっても、彼女は人の為に頑張ろうとし続けた。
その純粋な思いに、彼女の高いスペックが真の意味で結びついたとき、ナイトメアを単独で撃退と言う大戦果になって現れた。
そうして守りきったミルクの本当の笑顔と感謝。人の為に動けるという長所を持つ彼女がその笑顔と感謝から誰かを救う医者を目指す夢を得ることは、それほど不思議なことではないのだろうと私は思う。
★かれんさんだからこそ描く
こうやって見直してみると、ひたすらかれんさんは仲間や成長をキーワードにした物語を送っていた感じですね。
仲間を得、紆余曲折を経て自分も変わっていく。まあ、それは全プリキュアシリーズの根底にあるテーマの一つでしょう(だよな?w)
しかし、それをプリキュア5の中では、最も完全無欠に近い存在であるかれんさんでわざわざ重点的にやってることに意味があるのでしょうね。
夢を追う者達の物語・プリキュア5の中でかれんさんの存在は特殊です。
42話のりんちゃんも似たようなこと言ってましたが、彼女はスペックが高く、恐らく自らが望めばどんな夢も叶えてしまえる。どんな将来も選択肢としてしまえるでしょう。
しかし、自らの変化を必要としない夢を本当に夢と呼ぶことができるのか?
例えば医者と言う夢。彼女は初登場の時点でこの夢を目指していたとしたら、叶えるだけなら恐らくは可能だ。彼女にはそれだけの能力とか才能がある。
ただ、仲間やミルクとの出会いや出来事がなく、ただ医者になったとしたら?ナイトメアの悪夢が見せたような彼女の暗部が露出し、ただ患者を処理することのみ注力する医者になっていたかもしれない。
まあ、汚い大人からするとそっちの方が楽なんですがw性善説をばく進するプリキュアシリーズにこれがあってはいけません。
だからこそ、彼女の場合には人間的に大きく成長させる必要があったのだろう。自らの能力に振り回されないほど器量や自立性。その力を正しく使う精神。そういった例え、医者以外の夢を選んだとしても必要になるであろう人間的な成熟を。
どんな夢も叶えるだけの力があるであろうかれんさんだからこそ、誰よりも変わる必要性を訴えさせる。
メインキャラが多いおかげでもありますが、テーマを多角的に追求できるのがプリキュア5はいいですねw
続く
プリキュア5は夢探しの物語であるとは、もう何回も感想で書いたことです。
で、その中で一番特殊な描かれ方をしたと個人的に思うのは、このかれんさん。
彼女の見つけ出した夢は医者になること。その夢が直接的に姿を現すことになったのはミルクが病気になる34話においてです。
登場以前に夢を定めていたうららやこまちさんを除けば、のぞみとりんちゃんは物語以降に夢を定めます。
のぞみはプリキュアを通し、また自分に様々な影響を与えたココから先生と言う夢を。
りんちゃんは前々回の感想のような経緯でアクセサリー作りという夢を見つけます。
ココやプリキュアとの軌跡によって最終的に夢を得るのぞみ。形は違えど、アクセサリーの絡んだエピソードによって夢を得るりん。このあたりは順を追って、しっかりと描写されていると言えるでしょう。
ですが、かれんさんの医者と言う夢は件の34話のみです。他のメンツの流れとは微妙に違います。
では、プリキュア5において、彼女の物語は何を描いていたのか?と振り返ると、なかなかに興味深いものが見えてきます。
★かれんさんの担当回
箇条書きで我らが水無月嬢の担当回を抜いてみますと
・第5話「プリキュアの資格」
・第6話「プリキュア5全員集合!」
・第8話「相性最悪?りんとかれん」
・第14話「悩める生徒会長かれん」
・第18話「突撃!かれんの私生活」
・第34話「ミルクを守れ!白馬の騎士かれん」
こんな感じでしょうか?
変身失敗と初変身、りんちゃんとの相性、生徒会での苦悩、そして顔芸回wで、ミルクを看病し守った34話。
なんか纏まりがない感じですね。プリキュアだメンバーとの確執だ、生徒会だの。うららやこまちさんあたりの担当回と見比べるとバラバラです。りんちゃんのアクセサリーみたいなシンボルも見当たらないですし、のぞみみたいにキーパーソンとなる人物もいません。
では、簡単にその担当回のあらすじを思い出してみましょう。
☆第5話「プリキュアの資格」
かれんさん変身失敗の巻。日頃、何でもやってしまうかれんさん「私がやらないと駄目」と考えてしまっています。そんな中、彼女をプリキュアに誘おうとするのぞみさん。のぞみ一味が水無月家に訪れたとき、ナイトメア襲撃。彼女達のピンチに変身の機会が訪れますが、「私がやらないと駄目」と考えていたために失敗。かれんさんショック。
☆第6話「プリキュア5全員集合!」
失敗でショックのかれんさん。のぞみの勧誘を拒絶し続けますが、何だかんだで彼女達といるのが楽しくなってくる。そんな中、再びナイトメア襲撃。今度は一緒にて楽しかった彼女達を守りたいと叫んで変身成功。晴れて5人揃ってめでたしめでたし。
☆第8話「相性最悪?りんとかれん」
りんちゃんと好みが合わないで色々張り合う回。まあ、ナッツハウスにピンキー回収に学食と意地を張り合う二人の姿が微笑ましいです。一方、そんな中で他の三人がナイトメアに捕縛されますが、かれんさんとりんちゃんは張り合いつつも大奮闘。互いに認め合いましたが、やっぱり好みの違いは大きかったと言うお話w
☆第14話「悩める生徒会長かれん」
部費が足りないと各部から陳情の嵐。一応、それを学園理事長側に伝えるが色よい返事がない。かれんさんは制限は決まっていると切ろうとするが、こまちさんが部活側を窘め、一方でのぞみ発言が元になり、陳情の中で各部が協力できる点を探していく流れになる。かれんさんはその中で知恵や力を合わせることに気づく感じ。
☆第18話「突撃!かれんの私生活」
学園の高嶺の花のかれんさんを詳しく知りたい人が多いらしく、増子さんがかれんさんに取材を申し込む。かれんさん宅で取材するが、他の仲間が隠れて笑わせに来るwそんな仲間達に対して怒るかれんさんの姿に、増子さんはかれんが普段とは違う表情をすることに気づきます。
☆第34話「ミルクを守れ!白馬の騎士かれん」
かれんさんの牧場に遊びに行った5ファミリーですが、ミルクが病気になる。かれんさんは仲間達が病気を治すピンキーを探す間、ミルクの看病に奮闘するが、そこにナイトメアが襲来。たった一人で戦いを挑み、最終的には一人で撃退するかれんさん。治った後、ミルクは看病と守ってくれたことをかれんに感謝するのだった。
★共通点
こうやって羅列すると直接的に夢に至るお話を描いたのは34話のみですね。ほかはかれんさんの変化を描いた感じでしょうか?でも、それでもなんかバラバラですよね。
5・14話では頼られるかれんさんの様子を、6・8・18話では仲間を得たかれんの様子を描いてますが、やっぱりなんかバラバラです。
まあ、せいぜい一貫してる部分と言えば、仲間の重要性ぐらいでしょうか?
仲間を得る過程、仲間によって変化した様子、仲間の重要性に気づく。こういった感じのお話が大目のような気がします。ただ、それと医者という夢は直接はリンクしません。はてさて、これはどういうことなのか?
★18話のある二つのシーンに注目してみる
ここで一旦、夢の話題からは離れてしまいますが、見直してみると興味深いシーンがあります。
18話、増子さんを案内してる最中のお話です。見事な植物園。その世話をしっかりやってることを増子さんは褒めますが「本当は世話なんて焼きたくない。でも何かしてないと…」とつぶやくシーンがあります。
そして18話でもう一箇所。ナイトメアと戦闘中に人工底なし沼に捕らえられるアクアを残した仲間達。ここでアクアは増子さんを放り投げて逃げ道を指差しつつ、仲間の救援に向かいます。ここからはアクアの大奮闘で仲間救出、ナイトメア撃退となっていきます。
この二つのシーン。
・前者からは色々なことで頑張っているが、一方でそれに煩わしさを感じている。
・後者からはこの時のかれんさんは仲間の存在がとても大きくなっていることを示していると言えるでしょう。良くも悪くも増子さんより仲間達の救援を優先してしまいました。
さて、同じ話のこの二つのシーン。合わせると「現状、彼女にとって仲間はとても大きな存在だが、一方で煩わしさを感じている」と言えるのではないでしょうか?
★振り出しに戻る
上のことを頭においてもう一度、彼女をについて考え直してみると、なかなかに面白い。
3年生で生徒会長、文武両道で出来ないことはほとんどない。そんな完璧に近い彼女。何でもやってしまう為、人から頼りにされる。自分も誰かの世話をしてしまう。そんな彼女の姿を5・14・18話から確認できる。
一方でのぞみ達と出会ってプリキュアとなり、その後、彼女の変化等を描いたのが6・8・18話。
彼女は仲間と出会い、その仲間達が彼女を変えて行く様子が描かれてきてるが、一方で彼女が相変わらず頼りにされたり、世話を苦痛に思う姿も描かれている。
徐々に大きくなっていく仲間の存在。一方で変わらない彼女の性。こう見ると、彼女は仲間を得てプリキュアとなったが、再び、登場時の彼女のような存在に向かっていたのではないか?
彼女は本当にスペック、能力が高い。故に様々な人を助けることができる。学校においてもプリキュアにおいても。
だけど、裏を返せば、「結局、私がやらなきゃ駄目なのね」「私がこの子達の世話をしないと…」
という彼女のある種の優越感へと繋がる。自分が仲間や生徒達よりも上位の存在と心の奥底では考えてしまうようになるのではないか?実際、この点を23話のナイトメアは突いて来た。
スペック・能力が高いことは素晴らしいことです。自分の為だけではない。人の為に何かするためにも重要なものです。生徒会にプリキュアに彼女はその能力を如何なく発揮してきた。
だからこそ、彼女は誰かの世話、自分が引っ張っていると言う感覚に陥りやすいのかもしれない。5話の変身失敗や23話のナイトメア、そして鏡の国ダークアクアなどから、常に他者と比べての彼女の優位性が描かれている。
能力があるから人の為に尽くせる。能力があるから人より優位という感覚に陥る。人のために尽くせる人は、一方で対象者に対して優越感を得やすいものなのだ。
5前半の彼女の物語は、彼女の中で大きくなっていく仲間達の存在と、再び、以前の彼女に戻りつつあった危険な均衡を描いていたのではないでしょうか?
★プリキュア5絶対の法則
23話、優秀だから一人ぼっちと悪夢から宣告を受けるシーン等は、その彼女の優越感に関する問題の極地だっただろう。そして家族と離れ離れから来る孤独感。二つが合わさり、彼女の闇をより深刻なものにしていたのかもしれない。
だが、彼女も他の仲間達と一緒のように、人同士の結びつきからその闇に打ち勝つ。
彼女は仲間達との交流の中で、心の底から彼女達に尊敬の念を抱くようになったからだ。
「あの時ののぞみ、絶対忘れないわ」(25話)
「のぞみに出会ってから、寂しいって言えるようになったの。あの子には人を素直にさせる力があるのね」(30話)
「どんな逆境に立たされても輝きを失わない。何時だって信じることを忘れない子よ」(44話)
「でも、みんなに…のぞみに出会って、私は変わることができた…」(鏡の国)
「なかなかやるわね、りん」(8話)
「りんは本当に花が好きなのね(中略)本当に好きじゃないと、あんな風にできないものよ」(42話)
「それがこまちの優しさよ!私が一番よく分かっているわ!」(24話)
「自分が納得いくまで行動しないと必ず後悔するって、あの時、私にそう言ってくれたのはこまちじゃない!」(28話)
「こまちやうららみたいに、夢を持って一つの事にまっすぐ進んでる人が、とても羨ましい」(42話)
5人の中で一番スペックが高い彼女。だが、彼女は以前からの親友であるこまち、そしてプリキュアを介して得た仲間達に影響を受け、そして彼女達を認めていく。
認められなかったら、言い方は悪いが彼女にとって仲間達はただの庇護の対象でしかない。だが、本心から彼女達を認め、彼女の中で真の仲間へと昇華する。
「あなた、友達はいる?」
「そんな物はいらないわ。あなたを倒すのに、私一人で十分だもの!」
「私はいるわ…一緒に笑ったり、泣いたり、喜んだり悲しんだりできる大切な友達が…一人で十分なわけない、そんなんじゃ成長できないわ!」
(鏡の国)
仲間との真の出会いは彼女にさらなる成長を促す。自分ひとりでいいと思う人間には、これ以上の高みには至れない。ただの停滞である。
夢は違っても隣には自分が認め、それぞれの夢に向かって頑張る仲間達がいる。自分も彼らを理解できるし、自分も理解されている実感を得られる。だからこそ、彼らを励みにして頑張れる。ここは他の仲間とまったく同じ展開である。人同士の結びつきこそが己を成長=心を強くする。いつも通りのプリキュア5の絶対の法則である。
★そして夢へ
そこで34話を振り返る。病気になったミルクを看病し、そしてナイトメアから守りきるかれん。
このシチュエーションは誰かを庇護している感覚に陥りがちなかれんにとっては、再びその感覚に陥る可能性があっただろう。守られるだけの無力な存在のミルクだからなおさらだろう。しかし、この時の彼女にそんな余分な物はない。
ミルクの看病は何でもできた彼女にとってもなかなか大変な事だったし、自分も幼い頃、そうやって爺やさんに看病されたことから、自分もミルクも変わらない存在であることを改めて噛み締めたからだ。
そして仲間を認めていたこの時期の彼女は自己を特別視することはなくなっている。
そんな徐々に成長していた彼女だからこそ、そしてかつての自分と同じ状況の、守る必要があるミルクがいるこの時は彼女の最大の長所が最大限に発揮された。
彼女最大の長所とは人の為に頑張れることである。
「人は自分だけの為に動くわけではないわ」(39話)
上では誰かの為に動くことで優越感を持ってしまいがちなことを書いたが、本来、人のために動けることはこれ以上ない長所だ。
彼女自身は気づいていなかっただろうが、両親に心配をかけない様にいい子でい続けた事も、生徒会長として頑張り続けたことも、そして得た仲間達のためにプリキュアとなり戦い続けていることも、本来はかれんの人の為に動ける長所故の行為なのだ。
時に長所ゆえに派生する感情に流されることはあっても、彼女は人の為に頑張ろうとし続けた。
その純粋な思いに、彼女の高いスペックが真の意味で結びついたとき、ナイトメアを単独で撃退と言う大戦果になって現れた。
そうして守りきったミルクの本当の笑顔と感謝。人の為に動けるという長所を持つ彼女がその笑顔と感謝から誰かを救う医者を目指す夢を得ることは、それほど不思議なことではないのだろうと私は思う。
★かれんさんだからこそ描く
こうやって見直してみると、ひたすらかれんさんは仲間や成長をキーワードにした物語を送っていた感じですね。
仲間を得、紆余曲折を経て自分も変わっていく。まあ、それは全プリキュアシリーズの根底にあるテーマの一つでしょう(だよな?w)
しかし、それをプリキュア5の中では、最も完全無欠に近い存在であるかれんさんでわざわざ重点的にやってることに意味があるのでしょうね。
夢を追う者達の物語・プリキュア5の中でかれんさんの存在は特殊です。
42話のりんちゃんも似たようなこと言ってましたが、彼女はスペックが高く、恐らく自らが望めばどんな夢も叶えてしまえる。どんな将来も選択肢としてしまえるでしょう。
しかし、自らの変化を必要としない夢を本当に夢と呼ぶことができるのか?
例えば医者と言う夢。彼女は初登場の時点でこの夢を目指していたとしたら、叶えるだけなら恐らくは可能だ。彼女にはそれだけの能力とか才能がある。
ただ、仲間やミルクとの出会いや出来事がなく、ただ医者になったとしたら?ナイトメアの悪夢が見せたような彼女の暗部が露出し、ただ患者を処理することのみ注力する医者になっていたかもしれない。
まあ、汚い大人からするとそっちの方が楽なんですがw性善説をばく進するプリキュアシリーズにこれがあってはいけません。
だからこそ、彼女の場合には人間的に大きく成長させる必要があったのだろう。自らの能力に振り回されないほど器量や自立性。その力を正しく使う精神。そういった例え、医者以外の夢を選んだとしても必要になるであろう人間的な成熟を。
どんな夢も叶えるだけの力があるであろうかれんさんだからこそ、誰よりも変わる必要性を訴えさせる。
メインキャラが多いおかげでもありますが、テーマを多角的に追求できるのがプリキュア5はいいですねw
続く
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この記事へのコメント
いやーーー・・ 熱いです。
いろいろな視点で見たくなりますよね、5。
でもって。こまちさんはサブヒロイン・・ やっぱそうですよねぇw
いろいろな視点で見たくなりますよね、5。
でもって。こまちさんはサブヒロイン・・ やっぱそうですよねぇw
だいず様、おはようございます。
いつもお世話になっております。
>いろいろな視点で見たくなりますよね、5
本編二つに映画二本もそうですが、見る度に抱く感想ってなんか違うんですよね、5シリーズは。
5組それぞれの視点で見ても違う。ナイトメアやエターナルなどの視点で見ても違う。
全作品、対比構造で描かれているので、プリキュアの活躍のみ見てればテーマを理解できるわけじゃないのが面白いですw
>こまちさんはサブヒロイン
相方がいると大きいですねw
ちなみにGOGOのサブヒロインはうららだと思っておりますw
いつもお世話になっております。
>いろいろな視点で見たくなりますよね、5
本編二つに映画二本もそうですが、見る度に抱く感想ってなんか違うんですよね、5シリーズは。
5組それぞれの視点で見ても違う。ナイトメアやエターナルなどの視点で見ても違う。
全作品、対比構造で描かれているので、プリキュアの活躍のみ見てればテーマを理解できるわけじゃないのが面白いですw
>こまちさんはサブヒロイン
相方がいると大きいですねw
ちなみにGOGOのサブヒロインはうららだと思っておりますw
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